腕を肩より上の高さまで挙げる動作で上肢のしびれや肩・腕・肩甲骨周りの痛みが出ます。程度に差がありますが、腕の小指側から小指までうずくような痛み、刺すような痛み、しびれ感、ビリビリする感じなど感覚障害や握力低下、細かい動作がしにくいなどの運動麻痺が出ます。手の甲が筋張ったように骨が浮かんで見える、手のひらの小指側の筋肉の盛り上がりが無くなってしまうような筋萎縮まで起こることもあります。鎖骨下動脈が圧迫されると上肢の血色が悪くなり、白っぽくなったり、上肢が青紫色に見えたりすることもあります。左右差がはっきりと見えるようになります。
原因として使いすぎや姿勢の悪さで症状が発症します。特に腕を挙げることの繰り返し、重い物の持ち運び、なで肩などが良くないです。胸郭出口症候群は神経や血管が圧迫されることによる症状の総称で、圧迫される部位によって呼び方が異なります。また、1部位だけではなく、複数部位で起こることもあり、それぞれの箇所で絞扼性神経障害・血行障害を起こします。
斜角筋症候群 | 首の筋肉の隙間→斜角筋隙 |
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肋鎖症候群 | 肋骨と鎖骨の間→肋鎖間隙 |
過外転(小胸筋) 症候群 |
肩の前~脇下→小胸筋下間隙 |
また原因の一つとして頚肋があります。下位頚椎から出ている肋骨の残りで、生まれつきある方もいます。どの年代にも発症しますが、肩の筋力が低下しやすい40代~50代女性や重い物を持ち上げる仕事をする方に多いです。頚肋があっても全く症状の無い方もいます。
頚肋症候群 | 胎児の時の名残である頚肋 |
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頚の横~肩の上に腫れや痛み、上肢の運動麻痺、感覚障害があるときに損傷した可能性があります。損傷箇所によって全型・上位型・下位型に分類され、一般成人では全型が1番多く、次いで上位型、下位型は一番少ないとされています。
全型 | 肩~手まで上肢全体の運動と感覚の障害。 自律神経の異常。 引き抜き損傷ではホルネル徴候 ・まぶたが下がってしまう ・目が開けられない ・瞳孔縮小 が見られます。 |
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上位型 | 肩の挙上、肘の屈曲が不可能。肩の回旋、前腕の回外(手の平を上に向ける)が弱くなります。二の腕の上外側~前腕の親指側に感覚障害が出ます。 |
下位型 | 手首や指を曲げるなどする際に麻痺があり、手指の運動障害が出ます。前腕や手の小指側に感覚障害が出ます。 |
バイク事故・スキーなどスピードが出るスポーツでの転倒、機械に巻き込まれるなどでの牽引が原因となり、腕に向かう神経の束が引き延ばされて損傷します。鎖骨骨折の骨片が突き刺さったり、肩の脱臼でも損傷を起こすことがあります。分娩時に新生児に発生する腕神経叢損傷は「分娩麻痺」と呼ばれます。巨大児の場合に物理的圧迫を受けやすく、強く引っ張り出すためにリスクが高くなってしまうそうです。
・分娩麻痺
上腕型 (エルブ麻痺) |
分娩麻痺の中で最も多く80%を占める。 腕が上げにくい。上がらない。 |
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前腕型 (クルンプケ麻痺) |
20%を占める。 手や指の運動障害。把握反射の消失。 |
自然回復が全く期待できない場合は再建手術か移植手術が必要です。多くの軽症例の場合は保存療法が選択されます。神経損傷の場合は鍼灸施術にて改善に導きやすいです。麻痺の範囲へ鍼の通電をして機能回復を促します。神経症状のため改善には時間がかかりますが、良くなる可能性がありますのでしっかりと説明をさせていただき施術を行います。分娩麻痺の軽症では一週間以内に自然回復します。稀ですが、重症の場合には手術とリハビリが必要で、障害が残ることも考えられます。損傷した箇所により症状が多岐にわたりますので、一度気になったらご相談ください。
腕の挙上の際に肩甲骨の内側が浮き上がって羽根のように見えるため、この名前が付きます。肩関節の可動域制限(特に挙上)、動きに伴う痛み、そして美容上の問題が出るため、早く良くなりたい方が多いです。
前鋸筋の単独麻痺で起こります。前鋸筋の単独麻痺はこの筋肉を支配している長胸神経が伸ばされて麻痺することで起こります。テニス・ゴルフなどのスイングをするスポーツや、赤ちゃんと添い寝をするような手を上げた横向きの寝方が原因となります。重いリュックやカバンを背負って腕神経叢や長胸神経が圧迫されて起こることもあるそうです。なで肩や筋肉量が少ない方にも発生します。同じように翼状肩甲になってしまう鑑別する疾患として下記のものがあります。
副神経損傷による僧帽筋麻痺(頚部リンパ節生検や郭清術後)
三角筋拘縮による肩関節外転拘縮
棘下筋拘縮による肩関節外旋拘縮進行性筋ジストロフィー
どこの損傷が原因かハッキリさせてから施術をしていきます。ここでは翼状肩甲になってしまう一番多い原因である前鋸筋の麻痺について説明します。原因を排除することで約9か月で回復すると言われていますが、挙上制限や動きに伴う痛み、美容上の問題などもあるためやはり早い改善が必要です。翼状肩甲になることで麻痺した前鋸筋の他の筋肉が働かなくてはいけないため、姿勢の崩れが大きく見られます。骨格矯正を行い、姿勢や可動域の改善を同時進行で良くしていきます。合わせて鍼施術にて通電療法を行うことで元の前鋸筋の働きを取り戻すことが可能です。鑑別する他の疾患が考えられる場合はそちらの処置をさせていただきます。副神経損傷による僧帽筋麻痺は「腕神経叢損傷」、三角筋・棘下筋拘縮は「肩関節拘縮」の施術を参考にしてください。進行性筋ジストロフィーに関しては難病指定ですのでご家族の方と要相談の上で施術となります。
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ミツカル接骨院 院長
𠮷原 幸治
高校卒業後、柔道整復師国家試験に合格し、1年後にははり師・きゅう師国家試験に合格。有限会社やまがたに入社後、静岡県東部の接骨院、静岡市内接骨院に勤務し学園みずほ接骨院で院長を経験後、2022年3月にMARK IS 静岡にてミツカル接骨院を開院。現在は接骨院にて接骨業だけでなく鍼灸施術、ちびっこはり(子ども向け)と幅広い施術を行う。
保有資格
柔道整復師、はり師・きゅう師、認定卒後臨床研修指導柔道整復師認定、ちびっこはり勉強会修了
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